90日間お試し無料&返金保証

5/31まで!

ねこの便秘について

獣医師が監修しました
吉本 翔 先生

獣医師・獣医学博士

博士研究員(麻布大学・ペンシルバニア大学)

ねこも悩まされる便秘

人と同じように、ねこも便秘になります。便秘とは、排便の回数が普段より減る、排便するのが通常よりも難しくなる(排便するのに時間がかかる)といった状態をさします。何日排便が無ければ便秘、といった明確な定義はありませんが、一般的に丸3日以上排便がなければ便秘の可能性があります。

なお、食事量が減ると便の量も減ることもあり、便の量が少ないからといって必ずしも便秘だとは言い切れません。ただし、便秘でなくても便の量がいつもより少ない状態が続いているときには他に何か異常が隠れていることがあるため、気になる症状が続く場合には獣医師に相談しましょう。

 

症状

便秘になると、便の見た目と排便行動が変わってきます。普段との変化が重要なため、日ごろから注意してみてあげましょう。

便の見た目

健康なねこの便は、十分な水分を含んでいるためツヤがありますが、便秘のねこの便は、乾燥していて硬い場合があります。乾いていて硬く、コロコロとした小さな便が続く場合は便秘の可能性があります。

排便行動

排便姿勢をとっているのに便が出ていない、いつもよりも時間をかけて踏ん張っている、または排便時に苦しそうに鳴くといった様子がある場合には便秘の可能性が高いと考えられます。また、便が出きらず、頻繁にトイレに行くようになることもあります。

食欲不振、嘔吐

便秘が続いたり、何度も繰り返すことで胃腸の動きが悪くなると、食欲がなくなったり、嘔吐してしまうことがあります。

便秘が長期間続いたり、何度も繰り返したりすると、結腸が弛緩して「巨大結腸症」というより深刻な状態になってしまうこともあります。

 

原因

便秘となる原因にはどのようなものがあるのでしょうか [2]。

代謝、内分泌の異常

様々な原因により体が脱水することで、便の水分が少なくなり、便秘となってしまうことがあります。肥満、慢性腎臓病、甲状腺機能亢進症などは、脱水を引き起こすことで二次的な便秘を生じやすい病態です。

物理的な障害

直腸〜肛門にかけて何か障害物があったり、便の通り道が狭まることで便が出づらくなっている場合があります。腫瘍や骨盤の骨折(多くは過去の交通事故などが原因)による狭窄、グルーミング(毛づくろい)のときに飲み込んだ毛玉などが原因として考えられます。

生活環境

トイレに行きたくない原因(汚れている、ごはんを食べるところの近くにある、トイレで怖い経験をした、など)があると、トイレに行くのを我慢してしまい便秘となることがあります。他にも、入院などによる運動不足があると腸の動きが悪くなって便秘となる可能性もあります。

炎症

排便をするときに痛みが出るような炎症やケガがあると、うまく排便できなくなることがあります。

神経の異常

排便は自律神経という神経に制御されているので、自律神経失調症や、ケガなどによって排便を制御している神経が傷ついてしまった場合に排便がうまくできなくなってしまうことが起こりえます。

薬剤

鎮静剤や利尿剤(排尿を促す薬)など、一部の薬が便秘の原因となることがあります。

 

診断のために行う検査

直腸検査

指を肛門から入れて行う検査です。骨盤の状態や、直腸付近の異常がないかなどを調べます。病院で獣医師に行ってもらうと良いでしょう。

血液検査

脱水が起こっていないか、内分泌系の異常を示す値に変化はないかなどを調べます。

X線検査

たまっている便の量、消化管内に異物や腫瘍の有無、骨盤や脊椎に異常がないかを調べます。

エコー検査

消化管内に詰まってしまうようなものがないか、腫瘍ができていないかなどを調べます。

 

治療

便秘の治療法は、便秘の症状の重症度によって変わってきます [1]。

軽度(一時的)の場合

十分な水分と食物繊維を与え、便秘の症状が改善するか経過をみます。

中等度または便秘が再発している場合

浣腸や、浣腸が効かない場合は摘便(肛門に手を入れて便を掻き出すこと)が必要となる場合があります。浣腸も摘便も、無理にすると腸が破れたり傷ついたりしてしまう可能性があるので、かならず病院で獣医師に行なってもらうようにしましょう。また、便を柔らかくする薬や腸の動きを良くして排便を促す薬の内服を検討することもあります。

中等重症または便秘を繰り返して巨大結腸症となってしまっている場合

巨大結腸症の治療としては、結腸の部分的な切除があげられます。骨盤の骨折や変形によって便秘が起こっている場合には、骨盤の形を整えてあげる手術が必要となる可能性があります。

また、便秘の原因となっている病気がある場合は、それらの治療を並行して行う必要があります。

 

予防

便秘は繰り返しやすいため、一度便秘になってしまったねこには、日ごろから予防をしてあげることが大切です。水分不足は便秘の原因となるので、飲水量を増やす工夫をしてあげると良いでしょう。きれいな水をいつでも飲めるような環境を整えてあげることや、適度な運動をさせて飲水を促す、ドライフードからウェットフードに変えてみることなども飲水量を増やす工夫の一つです。腸内環境を整えるようなフードもありますので、獣医師と相談してみるのもいいでしょう。

また、トイレを清潔に保つ、食事の場所と離してあげるなど、トイレやトイレ回りの環境を整え、ねこが安心して排便できるようにしてあげることも大切です。

参考文献:

1.Canine and Feline Gastroenterology. R.J. Washabau. 2013. p. 93-98. 729-777.
2.August's Consultations in Feline Internal Medicine, Volume 7. F. Gaschen. 2016. p. 117-128.

監修者

吉本 翔 先生 (獣医師・獣医学博士)

北海道大学卒業、東京大学大学院にて博士号取得。夜間救急病院や大学病院で多くの患者と向き合う中で、研究やテクノロジーにより獣医療をもっと発展させたいと考えるようになる。現在は、麻布大学(2021年〜)と米国ペンシルバニア大学(2018年〜)で研究員。専門や興味のある分野は、がん、免疫、人工知能、診断推論など。