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鼻閉塞・鼻出血について

獣医師が監修しました
工藤 綾乃 先生

獣医師

鼻の症状

鼻閉塞は鼻水や炎症による腫れ、腫瘍などで鼻の中の空気の通り道が狭くなることをいいます。ねこは鼻閉塞によって匂いがわかりづらくなったり、呼吸がしづらくなってしまうため、食欲が落ちてしまったり、元気がなくなり動かなくなってしまったりすることもあります。見た目では、鼻の穴から鼻水が垂れていたり、鼻水が固まった黄色い塊が鼻先についていたり、あるいは息をするたびにズーズーと音がするようになることで飼い主の方が気づいて病院に来られることが多いです。

このとき鼻血の症状があるかどうかにも注意しましょう。特に高齢のねこで片方の鼻の穴から出血するようなことがあれば、鼻の中に腫瘍が隠れている可能性があります。皮膚など目につく見やすいところと違って鼻の中のできものは早期発見が難しいです。そのため、気になる症状があれば早めに病院にいくようにしましょう。

 

原因

・感染症

ウイルス、細菌、真菌、寄生虫など、様々な病原体が鼻炎の原因となる可能性があります。ウイルスによって引き起こされる鼻炎では、ヘルペスウイルスやカリシウイルスが原因となるものが大半を占めます。さらに、ウイルス感染によって鼻粘膜が荒らされたあとに細菌感染がおこってしまうことが多いです。真菌ではアスペルギルス、クラミジア、クリプトコッカスなど、寄生虫では鼻ダニというダニの一種などが鼻炎の原因となり、鼻閉塞をおこすことがあります。

・異物

植物の種などを吸い込んでしまうことで鼻閉塞がおこることがあります。

・腫瘍

腫瘍によっても鼻閉塞が起こります。リンパ腫、腺癌、扁平上皮がんなどの腫瘍がねこで報告されており、腫瘍の場合、鼻出血がみられることがあるのと、進行すれば鼻のなかの骨を壊してしまい、顔つきが変わってしまうことがあります。

・炎症性ポリープ

腫瘍と違って良性のできものですが、鼻閉塞の原因になります。

・歯牙疾患

ねこの牙はとても根が深く、根っこのところは鼻に隣接しています。そのため、歯周病など歯のトラブルがおこると同時に鼻でも感染や炎症などの問題が生じることがあります。 

 

診断のために行う検査

・身体検査

鼻汁がどんな見た目や性状なのかを評価します。ほかにも顔の変形がないか、左右対称な顔つきかを確認します。

・X線検査

X線検査は骨を観察するのに優れた検査です。鼻の中には鼻の左右の隔てる骨があるのですが、その骨が壊れていると重度の炎症や腫瘍の可能性が疑われます。

・CT検査+生検

鼻の中を最も細かく評価する方法です。例えば腫瘍の場合、脳などほかの場所へ浸潤していることがあるため、どこまでが腫瘍なのかほかの組織が正常であるかどうかをCTを用いることで評価します。炎症で腫れているだけなのか、腫瘍なのかを判断するのが難しいこともあり、鼻の中にストローのようなものをさしこんで組織を採取し評価することもあります。

 

治療

・感染症

原因に応じて抗ウイルス薬、抗生物質、抗真菌薬などで治療します。飲み薬のほか吸入薬などがあります。

・腫瘍

鼻の中の腫瘍に対しての治療は放射線治療や抗がん剤治療が主体となることが多いです。部位や腫瘍の種類によっては手術による摘出が可能なこともあります。

・炎症性ポリープ

炎症に対して抗生物質や消炎剤を飲むことがあります。しかし、飲み薬だけではポリープが縮むことはないため手術による摘出が必要になります。

・歯牙疾患

歯周病の治療を行います。歯石をとって歯周ポケットをきれいにしたり、歯周病がひどい場合には抜歯を行います。ねこの場合指示に従って口を開けたりしてくれませんので、麻酔をかけて寝ている間に歯の処置を行わなくてはいけません。

 

注意点

先にも述べましたが、高齢のねこでは腫瘍の可能性を考えなくてはいけません。鼻水や鼻づまりの症状のほか、特に鼻血がみられるときには早めの受診を検討してください。ねこが長生きするためにも、病気の早期発見のため、普段からねこの様子をみるようにしてあげてください。

監修者

工藤 綾乃 先生 (獣医師)

札幌出身。地元の北海道大学を卒業後、関東の動物病院で勤務。腫瘍症例の治療に携わるなかで、より効果的な治療を見つけたいと考え、現在は麻布大学博士課程に在籍中。ねこと暮らしながら実験漬の日々を送っている。専門や興味のある分野は、がん、麻酔・集中治療、野生動物臨床など。