90日間お試し無料&返金保証

5/31まで!

子ねこの育て方

獣医師が監修しました
工藤 綾乃 先生

獣医師

子ねことの生活がはじまったら

生まれて間もない子ねこを保護したり、自宅でねこの出産を経験したりと、子ねことの暮らしが急に始まるかもしれません。新生児の特徴や、猫の成長の仕方を知っておくことで、時期にあったケアをしてあげることができます。

生まれてから1歳までの時期を、Kitten 子猫期と呼び、心身ともにとても早いスピードで成長します。ねこの生活習慣や性格を形作る大切な時期です。

出生から数日

初乳は、出産後24~72時間までの母乳を指し、栄養素に加えて子ねこの免疫に必要な抗体が含まれています。出生後は、必ず初乳が飲めるように気をつけてあげましょう。

母乳が難しい場合は猫用ミルクで人工保育を行います。2~3時間おきを目安に授乳と排泄をすることが大切です。子猫は自分で排泄できないため、授乳後は陰部を濡らしたティッシュなどで刺激して排泄を促しましょう。

また、生まれたばかりの子猫は体温調節がうまくできないため、湯たんぽやヒートマットなどで保温が必要です。

性別の判定に加えて、口蓋裂などの先天性の病気がないか確認するために、動物病院の受診がすすめられます。

 

0~3週齢

子猫がすくすくと成長するためには、ストレスなく睡眠をたっぷりとることが大切です。なるべく騒音や刺激を与えないよう配慮しましょう。 体重が順調に増えない場合や元気がない場合は、必ず動物病院に相談しましょう。

授乳のタイミングや室温管理によっては、低血糖や脱水、低体温症を起こしてしまうこともあります。

 

1~4ヶ月齢

1カ月齢頃から乳歯が生えて、離乳を迎えます。食事は週齢に合わせたフードを選びましょう。また、周囲に関心を持って活動するようになります。誤食しない安全なおもちゃを使って遊びましょう。積極的なコミュニケーションは社会勉強につながります。

この時期には、初乳による免疫効果が低下するため、2ヶ月齡には混合ワクチン接種を受けましょう。動物病院受診の際は、糞便を持参することで糞便検査を受けられます。寄生虫の感染がないことを確認するために大切な検査です。

 

4ヶ月齢以降

永久歯が生えてきて、飼育環境や飼主とのコミュニケーションにも慣れてきます [2]

6カ月齢頃に性成熟を迎え、雄ねこはスプレー行動が目立ち、雌ねこも特徴的な鳴き声で鳴き続けるなどの発情行動が見られるようになります。ねこは交尾刺激で排卵するため、交尾すると高い確率で妊娠してしまいます。望まない妊娠を避けるためにも、避妊去勢手術を検討しましょう。手術には全身麻酔が必要なため、事前に全身検査をして、獣医師と相談しながら計画的に実施しましょう。

 

避妊去勢後~1歳

避妊去勢手術を終えると、ホルモンの影響で太りやすくなります。1歳頃には体格が成熟するので、体重が増えすぎないように食事の量を調整しましょう。運動も大切ですが、自宅の中で安全な行動範囲をしっかり定めましょう。行動範囲には誤って口にするような物は置かないように気を付けましょう。

 

子ねこがかかりやすい病気

子ねこには、成長の過程で起こりやすい症状や病気があります。すくすく成長するはずの時期に、少しでも異変がある場合は、早めに動物病院に相談してみると良いでしょう。

寄生虫感染症

ペットショップやブリーダーの元で多頭飼育されていた子ねこや屋外で保護された子ねこの体には、寄生虫が住み着いている可能性があります。体表に寄生するノミやダニをはじめ、胃腸に寄生する条虫、回虫など様々な寄生虫がいます。

 

体表に寄生する寄生虫では皮膚のかゆみや脱毛、耳の汚れなどの症状がみられることが多いです。治療には、皮膚に垂らすタイプの駆虫薬を使用するほか、お風呂に入れて体を丁寧に洗うこともいいでしょう。

胃腸の寄生虫では主に食欲不振や体重減少、下痢がみられることが多いです。診断にはまず糞便検査をするとよいでしょう。治療には、同じく駆虫薬を使用します。中には人間にも移ってしまう寄生虫もいるので注意しましょう。

ウィルス感染症

子ねこは免疫機能が不安定なので、ウィルスにかかりやすく、発症しやすい時期です。ヘルペスウィルスやカリシウィルスといった上部気道感染症では、風邪症状や目ヤニ、口内炎を引き起こすことが多いです。猫伝染性腹膜炎ウィルスでは、発育不良やお腹に水が溜まる腹水という症状を引き起こし命に関わります。そのほか猫白血病ウィルス(FeLV)猫免疫不全ウィルス(FIV)は発熱や体調不良を引き起こすことがあります。

こうしたウィルスは一度感染すると生涯付き合っていかなければならない場合があります。獣医師と相談のもと、予防できるウィルス感染症に対しては、ワクチン接種を実施しておきましょう。

誤食、中毒

探求心の強い子ねこは色んなものを口に含みます。普段のおもちゃだけでなく、イヤリングや輪ゴム、画鋲、靴下の切れ端など、家の中には飲みこむ恐れのあるものが溢れています。誤食すると、腸が詰まる腸閉塞や、腸に穴が開いてしまう腸穿孔を引き起こすかもしれません。また、口にすると中毒を引き起こす物質にも気を付けましょう。例えば、玉ねぎやニンニク、ニラなどのネギ類です。誤食すると赤血球が壊されて貧血を引き起こします。チョコレートは不整脈や呼吸困難を生じる恐れがあります。キシリトールは低血糖を引き起こします。他にも様々な物質が嘔吐や下痢を引き起こす恐れがあります。気付かない所で誤食しないように、ねこが活動する場所には危険なものを置かないように注意しましょう。

 

子ねこは1年の間に心身ともに目まぐるしく成長します。ひとの子育てと同じように、かわいがる中で気を付けることがたくさんあります。子ねこと一緒に生活してみると、どのようにお世話をすればよいのか分からず不安になることもあるかもしれません。1人で悩まずにお世話の経験者や獣医師に相談してみましょう。子ねことの素敵な毎日事前に知っておくべきことを整理しましょう。可愛い子ねこの時期にしっかりと愛情を注いであげることで、おうちでの生活に慣れ、ご家族との絆も強くなっていくでしょう。 

 

参考文献:

1. 2021 AAHA/AAFP Feline Life Stage Guidelines. Jessica Quimby et al. J Feline Med Surg. 2021 Mar;23

  

監修者

工藤 綾乃 先生 (獣医師)

札幌出身。地元の北海道大学を卒業後、関東の動物病院で勤務。腫瘍症例の治療に携わるなかで、より効果的な治療を見つけたいと考え、現在は麻布大学博士課程に在籍中。ねこと暮らしながら実験漬の日々を送っている。専門や興味のある分野は、がん、麻酔・集中治療、野生動物臨床など。