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外耳炎について

獣医師が監修しました
工藤 綾乃 先生

獣医師

外耳炎とは

外耳炎とは、外耳(鼓膜より外側:耳介と耳道)に起きる炎症のことを言います [1]。

 頻繁にシャワーをするといったような湿気の高い状態が続いたり、耳掃除の際に耳粘膜を傷つけたりしてしまうと、外耳炎が起きやすくなります。

また、耳がたれているスコティッシュフォールドなどの品種では、耳が立っているねこと比べて耳の中の様子が見にくく、病気があっても気づきにくいので注意してあげましょう。

 

症状

外耳炎になると、どのような症状が出てくるのでしょうか。

外耳炎になったねこの耳では、耳介や外耳道が赤くなる、耳垢が増えるといった変化が見られることが多いです。痒みや痛みを伴う場合、頭を振る、耳をよく掻く、壁などに耳をこすりつけるといった行動が見られます。激しく耳を掻くことで、傷が出来たり、毛が抜けたり、場合によっては耳血腫(耳介に血液が貯まって膨れた状態)が生じることもあります。重症化すると、耳から膿性(黄色い、ドロッとしている)の耳垢が出たり、悪臭がしたりすることもあるでしょう [2]。

外耳炎が繰り返され、慢性化すると、外耳道が狭窄してしまうこともあります。こうなってしまうと、音や声への反応が鈍いといった難聴の症状が生じます。また、鼓膜が破裂したり、中耳炎にまで波及したりする可能性もあります。

 

原因

病院に来る外耳炎のねこの中には、細菌や真菌(カビ)が感染した状態が多く見られますが、これらの感染は二次的に起きている場合が多いです。まずは、直接外耳炎を起こす原因を見てみましょう。

耳ダニ、ニキビダニなどの外寄生生物

特に耳ダニはねこの外耳炎の最も多い原因の一つです。初期には暗い茶色~黒色の浸出液が耳から出ることがあります [2]。

異物

植物やほこり、砂、小さな虫などが耳に入ってしまうことで、耳に炎症が起こることがあります [2]。

アトピー性皮膚炎

食べ物や環境アレルゲン物質などに対するアレルギー反応によって皮膚に炎症ができることをアトピー性皮膚炎といいます。耳だけでなく、体の他の部位の皮膚にも強い痒みなどの症状がでることが多いです。

ポリープ・腫瘍など

ポリープは、粘膜にできる良性のできものです。どの年齢のねこにも生じる可能性があります。ねこで腫瘍が外耳炎の原因となるのは稀ですが、耳垢腺癌という腫瘍が耳道に生じたり、扁平上皮癌が耳介の先端にできることがあります。扁平上皮癌は、高齢のねこでの発症が多いとされています。

上記のような外耳炎を直接引き起こす原因があると、細菌や真菌の感染が起きやすくなります。感染が起こると、外耳炎の症状が悪化したり長引いたりする可能性が高くなります。

原因となる細菌には、ブドウ球菌や緑膿菌、大腸菌などがあります。細菌が感染すると、膿性の耳垢が見られることが多いです。一方真菌では、マラセチア感染がよく見られます。マラセチアの感染が起きると、しばしば黒っぽいべたつく耳垢が見られるようになります。

 

診断のために行う検査

耳に異常が見られたときに行われる検査には、血液検査など一般的に行われるものもありますが、より詳細に耳の様子を調べるために次のような検査が行われます。

耳鏡検査

耳鏡とは耳の中を見る器具で、鼓膜に異常はないか、ポリープや耳ダニの有無を確認できます。

耳垢検査

耳垢に細菌や真菌が増えていないかを検査して、感染の有無を調べます。

CT検査

耳にポリープや腫瘍がないかを調べます [1]。

 

治療

外耳炎の治療法には、その原因によって次のような方法があります。

耳洗浄

耳垢や分泌物を取り除いてあげることで、耳を清潔にするだけでなく、点耳薬もよく効くようになります。

点耳薬

耳ダニなどの寄生虫に対する駆虫薬入りのもの、細菌感染に対しては抗生剤入りのもの、真菌感染には抗真菌剤入りのもの、他にもステロイド剤入りのものなど、原因に適した薬を耳に滴下します。

手術

腫瘍やポリープがあるとき、また炎症が重度で、薬だけでは治療ができない場合には、手術で影響を受けている部分を切除する必要があることもあります。

飲み薬

細菌や真菌などの感染が起こっている場合は、飲み薬で治療することもあります。

その他、アレルギーが原因で外耳炎が起こっている場合には、アレルギーのもとを取り除いてあげることが効果的です。

 

参考文献:

1. Feline Otitis: Diagnosis and Treatment. R.A. Kennis. Veterinary Clinics of North America: Small Animal Practice. 2013. p. 51-56

2. Causes of otitis externa. E.J. Rosse. Vet Clin Small Anim Pract. 2004.

3. Chapter 84 - Pyoderma, Otitis Externa, and Otitis Media. J.E. Sykes, et al. Canine and Feline Infectious Diseases. 2014. p.800-813.

4. Chapter 54 – Squamous Cell Carcinoma in Cats. S. Murphy. August’s Consultations in Feline Internal Medicine, Volume 7. 2016. P526-534.

    監修者

    工藤 綾乃 先生 (獣医師)

    札幌出身。地元の北海道大学を卒業後、関東の動物病院で勤務。腫瘍症例の治療に携わるなかで、より効果的な治療を見つけたいと考え、現在は麻布大学博士課程に在籍中。ねこと暮らしながら実験漬の日々を送っている。専門や興味のある分野は、がん、麻酔・集中治療、野生動物臨床など。