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ねこにお薬を飲ませよう

獣医師が執筆しました
工藤 綾乃 先生

獣医師

投薬が必要になったら

健康維持のためや病気の治療のために、ねこに薬をのませる機会が必ずやってきます。急に投薬が必要になったときにも焦らないように、上手にお薬を飲ませるポイントをこの記事でおさえていきましょう。

病院で処方される薬には、いくつかの形態があります。口から飲ませる薬として一般的なものは、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、散剤(粉薬)です。同じ薬でも錠剤とシロップ剤などいくつかの形態が販売されているものもあるので、ご自宅のねこちゃんが飲みやすいタイプがわかっている場合には処方の際に相談してみるとよいでしょう。

 

 

確認したいポイント

お薬を処方してもらう際には、獣医師に必ず確認しておきたいポイントが3つあります。 

1. 薬を飲ませるタイミング

食後に飲ませる薬なのか、食間に飲ませる薬なのか、それともいつ飲ませても良い薬なのか確認しておく必要があります。薬によっては、胃に食物が入っている状態で飲むとうまく吸収できないものもあるため、注意が必要です。また、1日に何回、何時間おきに飲ませる薬か、という点も把握しておきましょう。

2. 正式な製品名(または成分名)

薬は「胃薬」や「吐き気止め」といったように、効果を表す名前で処方されることもあります。しかし、一般に「胃薬」と呼ばれる薬は数多くあるため、どの薬なのか特定することは困難です。

他の病院に緊急でかかったときにも、どんな薬を内服中なのか正確に伝えられるように、処方された薬の製品名を獣医師に確認しておくとよいでしょう。お薬手帳のような形で記録しておけるとなお良いですね。

3. 他の薬との飲み合わせ

現在他に内服している薬やサプリメントがある場合には、薬の飲み合わせが悪くないか確認しましょう。

 

錠剤の飲ませ方

錠剤を飲ませる方法としては、喉奥に直接いれる方法、ごはんやおやつに混ぜる方法の2つがあります。

・喉奥に直接入れる
1. ねこのそばに座るか、ひざにのせる
2. 利き手に薬をもち、逆手でねこの上あごを持つ
3. 上あごを持って頭が垂直に上を向くようにし、歯の隙間をあけるようにする
4. 薬をぽとっと垂直に喉奥に落とすイメージで、歯の間から薬を落とす
5. 薬が喉の奥に入ったら、口を閉じ、数秒は上を向かせたままにする。このとき喉のあたりを数回さすってあげる

 

錠剤の中には苦味が強いものもあるため、舌にのせるのではなく喉奥に落としてあげることがポイントです。うまく吐き出してしまうねこの場合には、口にいれたあとに好きなおやつをなめさせてあげるのも良いでしょう。

また、暴れてしまうねこの場合には、タオルで手足を包み込むように巻いてあげると上手にねこを抑えることができます。同居人やご家族がいる場合には、保定の人と投薬の人に分担できるとスムーズです。

・食餌やおやつと混ぜる

食欲がある子であれば、食餌やおやつに混ぜて食べてもらうのも良い方法です。しかし、一度に食べず残してしまう場合には、薬をきちんと飲めていない可能性もあるのでよく観察が必要です。少量のウェットフードなどに薬を混ぜ込んで先に食べてもらい、なくなったあとにいつもの食餌の量をあげると確実に投薬ができます。

 

カプセル剤の飲ませ方

カプセル剤の飲ませ方は、錠剤のときと基本的には同じです。一般的に、カプセル剤のほうが錠剤より大きいことが多いので、食餌に混ぜるとそのまま残してしまうことがあります。喉奥に入れてあげる方法のほうが飲ませやすいでしょう。

 

シロップ剤の飲ませ方

シロップ剤は甘い味がついているものが多く、ねこによっては自分からなめてくれる子もいます。なめてくれない場合には、付属のスポイトまたはシリンジで飲ませてあげましょう。スポイトを利き手に持ち、逆手でねこを脇に抱えるような体勢で行なうと抑えやすいです。

ポイントは、スポイトの先を口の正面からではなく横側から差し込むことです。犬歯の後ろ側には少しスペースがあり、ねこが口を閉じていてもスポイトを差し込みやすい位置です。一度に入れすぎると、誤嚥してしまうこともあるので、少量ずつ飲ませることが必要です。

 

散剤(粉薬)の飲ませ方

散剤は食餌となじみやすいので、ウェットフードやおやつに混ぜることで上手に飲ませることができます。このときも、先に少量のフードに薬を混ぜて食べきってもらってから、普段の食餌をあげると良いでしょう。

また、少量の水に溶かして、シロップ剤のときと同じように口の横側から入れてあげることもできます。このとき、水の量が多いと飲むときに大変なので、最小限の水の量で溶かすようにしましょう。

 

注意点

飼い主が「薬を飲ませるぞ」と意気込むと、その雰囲気がねこにも伝わってしまい警戒されてしまいます。薬はねこには見せず、何気なく投薬を行えるようにしましょう。

ねこの性格によっては、食餌に薬を混ぜることで不信感を持ってしまい、食欲が落ちてしまう子がいます。食餌の変化に敏感な子の場合には、口に直接入れてあげるほうが負担を減らせることもあります。また、ごはんを食べているときやリラックスしているとき、グルーミングをしているときには無理に投薬を行わないほうがよいでしょう。

スムーズに投薬をすることができれば、ねこのストレスや負担も減らすことができるので、イメージトレーニングを行なった上で上手にできると良いですね。普段から顔をよく撫でてあげたり、口を軽くあけたりと慣らしてあげると、抵抗なく口を開けられるようになるでしょう。

しかし、実際にやってみると、投薬は慣れるまではなかなか難しいものです。ご自宅での投薬が難しい場合には、無理せず一度獣医師に相談してみましょう。

 

執筆者

工藤 綾乃 先生 (獣医師)

札幌出身。地元の北海道大学を卒業後、関東の動物病院で勤務。腫瘍症例の治療に携わるなかで、より効果的な治療を見つけたいと考え、現在は麻布大学博士課程に在籍中。ねこと暮らしながら実験漬の日々を送っている。専門や興味のある分野は、がん、麻酔・集中治療、野生動物臨床など。