「多尿」は腎臓病のサイン。ねこのおしっこの量、把握できていますか?

獣医師監修(トレッタねこ病院)

ねこは腎臓の病気にかかりやすい、とご存知の方は多いかもしれません。では、具体的にどのような症状が起きるのでしょうか? 今回は、ねこの様々な病気に関連する「多尿」症状についてトレッタの獣医師が解説します。

多尿とは?

「多尿」とは文字の通り、おしっこの量が標準の量よりも多い状態のこと。1日あたり50ml/kg(体重1kgあたり50ml)以上のおしっこが出ている状態が「多尿」と定義されています。例えば、3kgのねこならば1日あたり150ml以上、5kgのねこならば250ml以上が多尿となります。

ねこのおしっこの量の標準値は1日あたり5~25ml/kg(トレッタ調べ)。
標準値と多尿の間、25~50ml/kgの尿量は、異常とも正常とも判断がつかない範囲です。継続してこの範囲の尿量が出るようならば、異常の可能性が高いので、動物病院で血液検査や尿検査などの健康診断を受けることをおすすめします。

多尿の状態になると、水分がどんどん体から出て行ってしまいますので、脱水症状にならないよう水は好きなだけ飲めるようにしておきましょう。ねこに水を飲んでもらうためのポイントについて解説した記事もぜひ参考にしてください。「よく水を飲むようになった」「おしっこがよく出る=水分の取りすぎ?」などと考えて、飲水量を減らすなどの制限は獣医師の指示なしには絶対にしてはいけません

 


水飲み場はできるだけ多く、ねこがよく通る場所に。水を飲んでもらうために実践したいポイントをもっと見る

多尿の原因とは?

多尿は、腎臓の働きと深く関わっており、以下が多尿となる原因です。

・腎臓で作られる尿の量が多い
・腎臓が尿を濃くすることができない

ここで、腎臓の働きとおしっこが作られる過程をご説明します。

おしっこ(尿)の材料は血液です。血液が腎臓で濾過(ろか)されることにより、尿の元が作られます。腎臓は、この尿の元から、必要な栄養分は体の中に引き戻し、不必要な成分は尿として排出します。このとき、尿の元に含まれている水分は、必要な栄養分として腎臓が吸収するため、尿が濃くなります。腎臓でできた尿は、尿管を通って膀胱に運ばれ、おしっことして外に出ていきます。

上述の過程で、尿量を調節する部分は以下の2つ。

・腎臓で血液から尿の元を作るとき
・腎臓で尿を濃くするとき

腎臓病などの病気により、血液の濾過が正常にできなかったり、栄養分としての水分の吸収ができなくなると、薄い尿が排出され、多尿となります

多尿からわかる病気とは?

その日の体調やお薬(ステロイドなど)の投与によって、一時的に多尿になることもあります。多尿かどうかの判断は、1日ではできません。数日分のおしっこの量から判断します。「多尿が数日続いているかどうか」が、病気につながっている多尿を見分けるポイントとなります。

継続的に多尿になる場合、腎臓病以外にも、様々な病気の可能性があるので要注意です。

多尿になる病気例

・腎臓病
・甲状腺機能亢進症
・糖尿病
・上皮小体機能亢進症
・肝機能不全
・子宮蓄膿症
・副腎皮質機能亢進症
・中枢性尿崩症
など

ねこちゃんの“SOS”を見逃さないためにも、「水を飲む量が増えたかも?」「よくトイレに入るかも?」など、少しでも不安に感じたら、おしっこの量を測ったり、動物病院に相談してみましょう。

尿量の計算の仕方

今のねこちゃんのおしっこの量が気になる方は、ぜひ計算してみてください。

(式)
1日の合計尿量(ml)÷ 体重(kg)= 体重1kgあたりの尿量(ml/kg)

尿量は、1週間の尿量の平均値を使うと、より正確に算出されます。体重も、1週間のうち1番ねこちゃんの体重が正確に測れている数値を使いましょう。

尿量・体重の管理はトレッタでスマートに。

多頭飼いで、ねこごとのおしっこを見分けたり、お仕事などで日中家にいないためおしっこや体重の管理なんて無理…。という方は、ねこがトイレに入るだけで尿量・体重などを自動で測れるスマートトイレ「Toletta®(トレッタ)」がおすすめです。

自動で測ったデータはスマートフォンアプリで簡単管理。毎日多尿のチェックなんて大変…という方も安心な多尿アラート機能(※)もついています。ねこを見分けるAIカメラ付きなので、多頭飼いでもスマートにねこちゃんの健康管理ができます。

※ねこちゃんの体重と尿量のデータを獣医師と共同開発したシステムで分析し、多尿だと判断された場合はアプリにアラートを通知します。

ねこにも人にも優しいトレッタで、ねこライフをもっと長く、もっと幸せに。

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多くのねこを苦しめる泌尿器疾患の予防のためにも、おしっこについての知識はとても大切。多尿に気づくことにより、病気の早期発見にもつながりますので、ねこちゃんとの生活の中で、ぜひ意識してみてください。

 

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