ねこの膀胱結石について

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吉本 翔 先生 獣医師・獣医学博士・博士研究員(麻布大学・ペンシルバニア大学)
目次

膀胱結石とは?

腎臓で作られた尿が排泄されるまでの道(尿路)のどこかで結石(いわゆる石)ができることを、尿路結石といい、とくに膀胱にできた結石を膀胱結石と呼びます [1]。結石の大きさは砂粒くらいの小さなものから、数cmの大きさになるものまで様々です。

尿中に含まれる結石の成分(マグネシウムやリン、カルシウムなど)の濃度が高い状態が続くことがきっかけとなり、結石の核となる部分が形成されます。その後、様々な要因によって結石が大きくなると、膀胱に刺激が加わり痛みや血尿などの症状が生じます [1]。

結石ができる要因の一つとして、尿のpHの変化があります。尿は本来中性(pH 7)ですが、アルカリ性や酸性に偏ると、それまでのpHでは溶けていられた結石の成分が析出してきます。尿のpHは一定でなく、食餌や細菌の感染などの要因で変化します。

他には、ラグドール、ヒマラヤン、スコティッシュフォールドなどの品種は遺伝的に結石ができやすいといわれています [2]。

水をあまり飲まずおしっこに行く頻度が少ないねこの場合は、尿が濃縮され結石の成分の濃度が高くなりやすいので、結石ができやすい傾向があります。

 

膀胱結石の種類

結石にはいくつか種類がありますが、ねこの膀胱結石では以下の2種類が大部分を占めます [2]。

ストルバイト結石

尿がアルカリ性に傾いたときにできやすい

シュウ酸カルシウム結石

尿が酸性に傾いたときにできやすい

他にも、尿酸アンモニウム結石、シスチン結石、キサンチン結石などの種類があります。

 

膀胱結石によって引き起こされる症状

膀胱結石ができてしまうと、どのような症状がでるのでしょうか。

頻尿

結石の刺激により、頻繁にトイレに行く、残尿感がある、おしっこをするときに痛がるなどの症状が生じます [1]。

血尿

膀胱の中にある結石が、膀胱や尿道を傷つけてしまうことで血が混じったおしっこが出ることがあります。

尿道閉塞

膀胱から先に続いている尿道に結石が詰まってしまうことを尿道閉塞といい、特に雄ねこで注意しなければならない症状です。雌は尿道が短く太いのに対し、雄は細く長い構造なので、閉塞しやすいためです。尿道閉塞が起こってしまうと尿が出せなくなり、命に関わる状態になることもあります。

検査

膀胱結石が疑われる場合に行われる検査項目を見ていきましょう [2]。

尿検査

尿のpHや尿に含まれる結石の種類を調べたり、細菌感染の有無などを検査します。

X線検査

大きな結石の有無を見ることができます。結石の種類や大きさによって、X線での見えやすさが変わってきます。

エコー検査

X線検査では見えないような小さな結石でも検出できます。また、症状を起こしている原因が他にないか(腫瘍など)、膀胱に炎症が起こっていないかなども確認します。

 

膀胱結石の治療

膀胱結石を治療するためには、次のような方法があります。

結石用療法食

結石の種類や程度によって、結石のもととなる成分(ミネラル)が少ない食餌に変更します。特にストラバイト結石の場合は、尿のpHを下げる食餌に変更することで治療できることもあります。食餌の変更は、獣医師に相談の上行ないましょう [1]。

内科療法

ストラバイト結石の場合、大きさにもよりますが、お薬での治療が可能な場合があります。残念ながらシュウ酸カルシウム結石を溶かす薬は今のところありません [2]。また、尿に細菌が感染している場合は抗生剤を投与することもあります。

外科摘出

結石が大きく、自然排出が期待できない場合は、手術で膀胱から直接結石を取り除きます。

 

膀胱結石の予防

膀胱結石は治療したあとも再発しやすい病気のため、予防がとても大切です。

あまり水を飲まないねこには、通り道に水飲み場を増やしたり、新鮮な水を常に準備したりと水を飲みたくなるような工夫をしてみましょう。

肥満気味なねこや、室内で運動できるスペースが少ないねこは運動不足になりやすく、結果として水を飲む量が少なくなってしまいます [2]。食餌量を調節することや、時間を空けてごはんをあげる(ごはんを入れっぱなしにしない)ことは肥満防止に役立ちます。また、キャットタワーを置く、1日に1回はおもちゃで遊ぶなど運動環境を整えることも大切です。

他にも、おしっこに行く回数が少ない理由として、ねこがトイレに行きたくない原因があるのかもしれません。ねこはトイレが汚れている場合や、トイレが置いてある場所がこわい・落ち着かないなどの理由でおしっこを我慢することもあります。この機会に、トイレ環境も一度見直してみましょう。

参考文献
1. August's Consultations in Feline Internal Medicine, Volume 7. A. Callens and J.W. Bartges. p.499-508
2. Recent Concepts in Feline Lower Urinary Tract Disease.R.A. Hostutler.et al., Vet Clin North Am Small Anim Pract.2005
3. Urinary Tract Infections: Treatment/Comparative Therapeutics, S.J. Olin and J.W. Bartges. Vet Clin North Am Small Anim Pract.2015
この記事を監修した人
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吉本 翔 先生 獣医師・獣医学博士・博士研究員(麻布大学・ペンシルバニア大学)

北海道大学卒業、東京大学大学院にて博士号取得。夜間救急病院や大学病院で多くの患者と向き合う中で、研究やテクノロジーにより獣医療をもっと発展させたいと考えるようになる。現在は、麻布大学(2021年〜)と米国ペンシルバニア大学(2018年〜)で研究員。専門や興味のある分野は、がん、免疫、人工知能、診断推論など。

発行・編集:株式会社トレッタキャッツ

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