ふみふみの理由

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工藤 綾乃 先生 獣医師
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 ねこの「ふみふみ」とは?

一定のリズムで、優しく前足で足踏みをする、またはパン生地をこねるような行動・動作は、英語ではmil tread、kneadingなどと呼ばれています。

ふみふみは子ねこにとっては本能的な行動です。つまり、子ねこが母乳を飲むときに母ねこのお腹をふみふみすることで、母乳の分泌が刺激され、母乳の出が良くなるのです。

ちなみにこの行動は、ねこ以外でも他の動物(犬やねずみ、豚など)でも幼いころに見られますが、成長するにつれて通常行わなくなります。

 

成ねこのふみふみの意味

なぜ、ねこでは大人になってからもふみふみすることがあるのでしょうか。一般的には、子ねこのころの名残と考えられており、母ねこのおなかと同じような柔らかさ、暖かさを感じられる毛布やクッション、人のおなかや太ももなどに対してこの行動をとることが多いです。

ねこは、次のような気持ちや目的でふみふみをしていると言われています。

リラックス

ゴロゴロと喉を鳴らす、または軽く甘噛みするのと同時にすることもあります。こういった場合、ねこがリラックス、安心、安全だと感じていることを意味します。

マーキング

ねこの足の裏には匂いを分泌する腺があるので、ふみふみすることにより自分の匂いを付けるつまり、マーキングのためにこの行動をとることがあります。もしねこが飼い主のお腹の上でふみふみしている場合、飼い主を自分のものと考えている、というねこの愛情表現の一つとも考えられます。

ストレス発散

ストレスの多い状況や慢性的なストレスがある状態では、ストレスや不安を解消するためにこの行動をとることもあります。

他にも、寝床や休憩場所を快適にするためや、出産を控えた妊娠中のねこも、この行動をとることがあります。基本的にはリラックスしていることを表す大変かわいらしい行動ですが、ストレスを感じている可能性もあります。普段からねこの様子をよく見てあげて、ねこが不快に感じるようなこと・ものはできるだけ減らしてあげましょう。

ふみふみをしなくても問題ない?

成ねこがふみふみしないことは全く問題ではありません。基本的にこの行動は子ねこが母乳を飲むときに行う行動なので、親離れするとしなくなるねこも多いです。そのため、子ねこの早い時期に母ねこから離されてしまったねこは、ふみふみすることが多くなるとも言われています。逆に、家に来てすぐはふみふみしなかったけれども、飼い主や環境に慣れてきてするようになるねこもいます。

ふみふみしているねこはとても可愛らしいので、飼い主としては是非してほしいと思うかもしれませんが、ねこの個性を尊重してあげましょう。 

この記事を監修した人
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工藤 綾乃 先生 獣医師

札幌出身。地元の北海道大学を卒業後、関東の動物病院で勤務。腫瘍症例の治療に携わるなかで、より効果的な治療を見つけたいと考え、現在は麻布大学博士課程に在籍中。ねこと暮らしながら実験漬の日々を送っている。専門や興味のある分野は、がん、麻酔・集中治療、野生動物臨床など。

発行・編集:株式会社トレッタキャッツ

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